お久しぶりです、小説担当の白猫です!
というわけで何か月ぶりか分からないですが、とにかく大分間隔空いちゃいましたが、今回は『forget-her-not ≪Re write≫』の短編を一つ投稿します。
以前いくら氏がこのブログに投稿していたものをベースに作りました!
ではでは前書きはこの辺で、どうぞお楽しみください! 🐾
『魔女様と猫』
「魔女様おはよう! 」
「おはようございます、魔女様」
私は今日もリリーと一緒に魔女様の家に来ました。
当の魔女様は、なぜかベッドの上で頭から布団を被っています。
「魔女様? 」
私が呼びかけると、魔女様が布団をずらして顔を出しました。
「レイナ? 助けて……」
「どうしたんですか? 」
「うぅ……」
魔女様はあきらめたような顔で、ゆっくりと布団から出てきました。
その頭には……
「ふふ、魔女様可愛い! 」
「貴女は笑い過ぎよ! 」
可愛らしい猫の耳が付いていました。
リリーが声を上げるのも頷けます。それはそうと。
「えっと、どうしたんですか? 」
「……分からないわ? 」
「え? 」
「起きたらこうなってて、ノックが聞こえたから思わず……」
布団を被ってたんですね。でも、魔女様もこんなことあるんだ。
そう考えると、思わず笑みがこぼれる。
「もう、貴女まで……」
恥ずかしそうに顔を赤くして、ぴくぴくと耳を動かしています。
「ふふ、ごめんなさい」
「ねぇ、起きたときにそうなってたんなら昨日何かあったんじゃない? 」
リリーが人差し指を立てて言います。
「昨日……」
「うん! 私たちが帰ったあと、魔女様は何してたの? 」
「そうねぇ、確か窓から猫を見て……」
🐾🐾🐾
「あの子達、ほんとに元気ね」
閉じたドアを見つめてぐっと伸びをする。
あの子達がここに来るようになってから、毎日が本当に賑やかになった。
だけど一人で居る時の静けさが前よりも寂しく感じる。
「ふふ、贅沢な悩みね」
ミャオ。私の呟きに答えるように、高い鳴き声が聞こえてくる。
「あら、どうしたの? 」
窓の外から私を覗いていた白い猫を抱き上げる。
じっと見つめる青い瞳がまるでリリーのようだ、
「そうだ、貴女お腹空いてないかしら? 」
ミャアー。
「そう。じゃぁ一緒に食べましょ」
ニャー。
床に下ろすと猫が足にすり寄ってくる。
猫と食事なんて、そういえば初めてね。最近は不思議なことばっかりだわ。
🐾🐾🐾
「それからその子と一緒にご飯を食べて、ベッドに入ったとこまでは覚えてるんだけど……」
「まさか魔女様、その猫と魔法でくっ付いちゃったんじゃ」
リリーがわざとらしく両手で口を押えます。
「そんなこと! ない、とも言えないわね……」
「魔女様本気ですか? 」
「魔法のことは私にも詳しくは分からないのよ」
うーん。猫とくっ付くなんてほんとにあるのかなぁ。
そういえば魔女様、猫と一緒に寝たって言ってた。
まだわいわいと騒ぐ二人を置いて、私は魔女様が居たベッドを見ます。
さっきまで魔女様が被っていた布団がもぞもぞと動きました。
なるほど。
「魔女様……」
ニャー。寝起きの白猫さんも眠そうに鳴きます。
「あら、その子まだいたのね」
「わぁ可愛い! レイナ! 私にも触らせて! 」
「はい、リリーちょっとこの子持ってて」
「やった! 」
リリーに猫を渡して、私は魔女様の横に立ちます。
「魔女様、その耳消そうとしてみました? 」
「……そういえば、まだやってなかったかも」
魔女様が頭の上の両耳を押えます。
すると一瞬のうちに猫の耳は消え、魔女様の頭にはいつもの綺麗な白髪がさらりと流れます。
「ふぅ、ありがとうレイナ。助かったわ」
「いえいえ。それと魔女様、お酒はほどほどに」
「ええ、気を付けるわ……」
部屋の隅に転がっている空き瓶を指さすと、魔女様は苦笑いをして答えました。
魔女様お酒弱いからなぁ。でも昨日は一人じゃなかったから、きっと楽しい食事だったに違いない。
「レイナ! 魔女様! こっちでこの子と遊ぼうよ! 」
「今行くよ」
「そうね」
ミャオ。三人と一匹。
今日はいつもより少し賑やかで、いつもよりまったりした一日でした。
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